お金は仏様からのまわりもの?—自宅新築の際に頂いた財のご利益—

25年前の自宅新築の際に新調した御戒壇の前で

倉敷・妙照寺 森下幸江さん

 今日は今までに頂いた数々のご利益の中の「財(お金)のご利益」についてご披露させて頂きます。少し古いお話になりますが、今から約25年前に家を新築した際のお話です。

家の建て替えと同時に御戒壇(御宝前)も新調するなんて無理!

 私が住んでおります場所は、商業地域で防火地区です。その為、木造建築も軽量鉄骨の建物も建てることができず、鉄筋の家しか建築許可が下りないのです。私の弟が大工をしておりましたので、できることなら弟に木造の家を建ててもらいたかったのですが、弟も「自分は鉄筋は建てられない」とあきらめていました。

 そこで岡山市の鉄筋建築の業者にお願いすることになりました。その頃主人はまだ勤めておりましたので、その帰宅時間にあわせて家まで来ていただき、夜遅くまで何度も話し合いが続くこともありました。数ヶ月かかってやっと話がまとまり、契約書を交わし、800万円の契約金を支払いました。そんな折、お寺の御導師さま(住職)から

森下さん、この際御戒壇(御宝前)も新しくしてはどうですか?

と助言をいただきました。少し前に、御戒壇のお値段が200万円くらいするとお聞きしていましたので、その時は即答で

無理です。

とお返事させていたいたのを覚えています。

 この御戒壇新調の話を主人にしますと、普段ほとんど信心をしていない主人の口から

それは御導師の言われる通りだと思うよ。まだウチの御宝前は綺麗なほうだけど、まわりが新しくなると古ぼけて見えるだろ。自分たちは新しい家に住んでおきながら、仏様のおうちは古いままだったら失礼だし、なんだか気持ちが悪い。お金ならきっとなんとかなるさ……

と、普段のんきな主人がもっともらしいことを、しかも何のお金の計算もなしに言うものですから私はとても驚きました。翌日改めて御導師さまに御戒壇の新調をお願いしました。しかし、やはり私の計算ではどうにかなる金額ではありませんでした。

木造の家が建てられるですって!?

 すぐに仮住まいの家も近所に見つかり、しばらく元の家を留守にしますし、ご近所には建築中は何かとご迷惑をおかけしますので、十軒ばかりの家を主人と挨拶廻りをしていました。その途中、立ち話をしていましたら、

木造の家が建てられないですって?本当?もう一度よく調べてみたら?

と言われ、挨拶廻りは途中で止めにして、急いで市役所の建築指導課に確認に行きました。でも、やはり木造は建てられませんと言われて、一軒一軒が印された地図帳をみせてくださったのですが、防火地区と準防火地区がちゃんと色分けしてありました。さらに確認のためにもう一冊の古い台帳を持ち出して見比べると、その係の人が大変驚いた様子でした。

「台帳が古くなったので、新しく作り直されたのですが、転記する際に色分けする所を間違えていますね。」

 我が家のある場所は都市計画で道路にかかっているので、その為に横一列に七軒だけが条件つきで木造が許される場所だったのです。

勇気をもって業者さんにはお断りの電話を…。

 そんな事もありまして、木造が建つということが確認できたのだから、鉄筋の業者には断りをいれようと主人に話したところ、

「今まで何ヶ月もかけて岡山から来てもらって、契約金も支払って『さあ、これから』というところまで話は進んだんだ。今さら断ることなど男のワシにはできない!」

と、こんな事を言われたものですから、

それなら私が断ります!

と、こういう時は女のほうが図々しいのです。

この話を弟や棟梁さんに相談しても、

大手の業者は契約金を返すようなことはしないと思う。半分でも戻ってくれば良いほうだな。

と言われ、不安ではありましたが、私はお断りの電話を入れたのでした。
 業者さんはその夜にすぐにウチに来られて、

「我社も木造もやりますから、このまま続けさせてほしい。」

と言われました。

「でも私たちのわがままではなく、市役所のミスでこんな事になったのですからお許しください。弟も姉の家ぐらい建てたいと思っているはずですし、私も是非弟に建てさせてあげたいのです。」

半ば強引でしたが、こんな事をいってその日は業者さんに帰ってもらいました。

費用も格段に安くなり、なんと契約金まで返ってきた!

すると翌日に電話があり、

「森下さんの身内が建てられるのでしたら、残念ではありますがこちらとしては気持ち良く手を引かせていただきます。ただし、今までにかかった製図や印紙代として35万円だけ頂きたいのです。残りの765万円はお返しさせていただきます。」

と言ってくださったのです!この返事を頂いた時、私は御宝前の経机の上に額をつけたまましばらく呆然としました。肩の力が抜け、身震いする思いでため息まじりに、

あぁ、こんな事もあるんだなあ。

と、なんだかいつもより輝いて見えた御宝前様をしばらく見上げていました。

 帰宅した主人に業者さんからの返事の事を伝えますと、開口一番、

ほら見てみろ。御宝前を新しくさせてもらおうと決めたから、そのお陰を頂いたんだよ

と言われました。こればっかりは本当に私もその通りだと思いました。そしてすぐにお寺に御礼の御有志金を、気持ちばかりですが納めさせていただきました。なんせ鉄筋から木造に変わったことで、費用が一千万円以上も安くなったのですから!

もしも阪神淡路大震災のあとに建てていたら……

 木造の間取りを考える時に、私はまず何よりも一番に「御宝前へのお給仕(お掃除など)がし易いこと」「又、御講(自宅での法要)がなるべくスムーズに営めること」「参詣者にいろいろと御供養(食事)を振る舞えるよう台所を広くとること」など、色々と御宝前周りの動線を中心に注文をつけました。

 そして平成7年、まだ家は完成していませんでしたが、新しい自宅でお正月を迎えることができました。その1月17日、皆様ご存じのあの阪神淡路大震災が起きました。できたばかりの我が家が壊れるかと思うほど、倉敷も大きく揺れました。
 後日、棟梁さんが来られて、

「森下さん、あなた本当にいい時に家を建てたよ。もう今年はあの地震の後からは瓦や他の材料が手に入らんのじゃ。材木は大変な値上がりで、今年に建てとったらこんな値段で家は出来なかったよ。」

と言われ、これも仏様からの大きなお計らい(ご利益)だと思いました。

お金は仏様からのまわりもの?ローンを一気に完済!

 家も無事に建ち、平成10年に主人は定年退職をむかえました。今まで無計画に勧められるがままに生命保険にあれこれと入っていましたので、これからの年金生活を考えますと保険の掛金も苦しくなるので、少し見直しをすることにいたしました。主人の分を三件ばかり解約しようと思って、証書も用意しておりましたところ、その解約手続きの予定日の1週間前になんと主人が脳卒中で倒れ、8ヶ月もの間入院生活を余儀なくされたのでした。あの保険の解約をして1週間後に倒れたのであれば、涙の出るところでしたが、その前でしたので実質的に出費はほとんどありませんでした。

 また、平成12年の暮れに主人は退院しましたが、退院後に家で必要な電動ベッド、脇机、車椅子、お風呂用の椅子、その他介護に必要な約70万円ほどの物品を全て市から無料で支給していただけたのです。同じ年から介護保険が始まり、市から提供されるその制度は廃止になりましたから、少しタイミングがずれていれば、リースで毎月お金を払わなければならなかったところでした。これも本当に大きなお計らいを頂戴したと感得しました。

 以前一度は解約しようと思っていたいくつかの保険も、それらの満期がたまたま平成12・13年頃に集中しておりましたので、主人の退院とともに住宅ローンへの返済が全て早々と完済できたのでした。よく世間では「お金は天下のまわりもの」とかいいますが、我が家にとってこの度のことは「仏様が必要なお金を廻してくださった」と実感しました。わずかな収入でも使い方といいますか、使う順序を間違えなかったからこそ、余計な所へ払わずに済みみました。つまり、お寺の御有志、家の御宝前のことを第一に考えてきたからこそ、仏様がうまく我が家の家計を廻してくださったのだと思います。

 あれもご利益、これもお計らいと改めて随喜している今日この頃です。長々の駄文をお聞き下さいまして、誠に有難うございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です